症状

肩腱板断裂が起こると肩の痛みや、肩を動かす筋力の低下が起こります。ただし、これは全ての人に当てはまるわけでは無く、腱板断裂があっても痛み、筋力低下など症状の無い人も大勢います。このような状態を無症候性断裂と言います。腱板断裂は加齢現象のひとつであり、年齢とともに腱板断裂は増えます。例えば70歳以上の人では30−50%の人が腱板断裂がありその中で50−70%程度は無症候性断裂であるとの報告もあります。

腱板断裂の病態

正常な状態と腱板断裂の状態を示しますので比較してください。左下の図は正常な肩の動き。右下の図は肩腱板が断裂したときの状態です。腱板は上腕骨の大結節に付着しており、三角筋と協力して肩を外転する機能があります。より詳細に述べると、腱板は上腕骨頭を臼蓋に対し押し付ける働きがあり、そうすることで上腕骨頭の回転中心が臼蓋から離れないようにします。

治療

腱板断裂が起これば腱板は自然に再びくっつくことはありません。しかし腱板断裂が存在しても痛みがあまりない場合や全く無い場合も少なくありません。よって、ほとんどの場合は手術は必要とせず、保存治療で症状は軽快、あるいは消失することが多くあります。保存治療は注射、消炎鎮痛薬、リハビリ等が主体になりますが、長期にわたり強い症状が続く場合は手術の検討も必要です。 また、40代以下で肉体労働やスポーツ競技者等も手術を積極的に考える場合があります。 

関節鏡治療例

これは右肩を後方から見たところです。棘上筋が大結節からはがれていますが、右側の写真で示すとおり、引っ張ると弾力性は良好であり大結節に余裕を持って届きます。 

腱の弾力性は良好ですのでより強力な固定方法である2重固定を行いました。大結節の内側に1本のアンカー(チタン製のビスのようなもので糸が2本ついています。)を挿入し、外側には2本のアンカーを挿入しました。

縫合糸を結び棘上筋は大結節に強固に接着されています。2重固定で行ったため棘上筋と大結節の接触面積は広く腱の治癒に有利です。 「整形外科最小襲侵ジャーナルNo.44 腱板損傷の最小襲侵手術」2007 9月号 全日本病院出版協会 をご参照ください。鏡視下腱板修復術(特に大広範囲断裂の修復について)について武田医師が詳細について執筆しています。